自尊心の低い人の組織行動(15) [自尊心]

自尊心の低い人は、他者と「比較」し、「勝ち負け」にこだわる生き方をするのが特徴だ。
その場合、できれば勝ちたいが、自分の力を考えると勝てそうにない。そこで勝たなくてもせめて負けたくないという心理が働く。組織の中でもその習性が顔を出し独特の行動パターンを示す。
まず、仕事をするときは「正しく」という視点より、「失敗しない」という視点で考えようとする。つまり、失敗して他者からバカにされたくないので、それを避けられる―あらかじめ答えや方法が決っていること―それを忠実に守ろうとする。自分の判断でやろうとすると、間違う可能性があるので、それはしたくないのだ。
また、集団で何かを決めるときには、否定されるのが嫌なものだから、決して自分のほうから発言することはしない。大勢が決まりそうだと判断されるときに、決まりそうな案に賛成するのだ。
自分の意見に自信がないだけに、誰の意見が通りそうか(誰が強いか)を気にし、その人の意見に従うのが得策だと思うようになるのだ。できれば強い側につきたい。いわば「派閥の論理」に与しようとする。
強い人の後をくっついていけば自分の弱さや欠点を他者に見られなくてすむ。そして「虎の威」を借りた行動をとるようになる。そのかわり、上(強い)の人から言われると、臭いものには蓋をするし、悪いと思いながら組織を守るための行動をとることがあるのだ。
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自尊心の高い人の組織行動(14) [自尊心]

自尊心は、個人的な行動だけでなく、組織(企業)の中での行動にも反映される。
自尊心の高い人は、物事を成長志向で「何が正しいか」という視点で捉えようとする。そのため、仕事をするときにもそのスタンスが出てくる。
すなわち、仕事をするとき、仕事と目標は上司から与えられても、それをどうやってやるかという方法論は個人に任されることがほとんどだ。
自尊心の高い人は、目標を達成するために「何をすることが正しい選択になるか」という視点で考えようとする。場合によっては、上司とは違った方法論になるかもしれないが、それをきちんと理由をあげて説明できるのが自尊心の高い人の特長だ。
 何かを決定する時にも同じことが起こってくる。自尊心の高い人は、「何が正しいか」という視点で考えるから、少数意見になるようなときでも自分の意見をきちんと陳述しようとする。したがって、時には周囲の人たちから煙たがられるかもしれない。しかし、自尊心の高い人は、Win-Winの「共生」の生き方ができるので、組織としての正しい結論が出るよう積極的に発言する。そして最後には自分の案でなくてもベストだと考える意見に賛同しようとする。そして決まったからには、積極的に協力し合ってその実現をめざして行動するのだ。
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弱い者いじめ(13-➁) [自尊心]

学校における「弱い者いじめ」が無くなりそうにありません。文科省による調査(平成2年度)では、小・中・高校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は517.163件/年もありました。
これは報告されたものだけで、実際にはもっと多いに違いありません。
いじめは、自尊心の低い人(子)の優越コンプレックスが顔をだす負の補償行動の一種です。
人は、誰でも自分のことを価値がないとは思いたくない。しかし、他者と比較すると自分が劣っていてとても価値ある存在とは思えない。(しかも、小さいときから劣っている側面を見るよう育てられてきていると、ついつい自分の劣っているところと他者の優れているところを比較してしまう。)
そこで、せめて自分より劣っていると思われる子を見つけてきて、“自分のほうが偉いんだ(上だ)”と思いたい。そこにいじめが起こるのだ。いじめる対象は、自分より劣っていて反抗しそうにない子なら誰でもいい。そして、いじめることで自分の体面を保とうとするのです。これは、明らかに優越コンプレックスのなせる業です。
ところが、1対1になるとケンカになるのでそれは避けたい。そこで同じような境遇の仲間を引き入れて集団でいじめることになるのです。
このような子の周りには人は集まろうとしない。他者との間に対等な関係を築くのが難しく、周囲の子どもたちから孤立し、同じような境遇の子だけが“傷をなめる”ようにして集まります。そして、最初は、ひと目のつかないところでこっそりといじめるのです。
周囲の子どもたちは、自分にとばっちりがこないように見て見ぬ振りをすることが多いものだから、なかなか表面化しにくいと言われています。
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自尊心の低い人と「優越コンプレックス」(13-①) [自尊心]

 自尊心の低い人と「優越コンプレックス」(13-①)(2022.9.15)
劣等コンプレックスがさらに高じると、それとは別の方法で劣等感を解消しようとする動きが出てきます。その人は、自分が実際には優れているわけではないのに、優れているように振舞い、それを他者に見せつけようとします。いわゆる空威張りです。これを「優越コンプレックス」といいます。
 つまり、他者に対して優越感を示すことによって、自分の劣等感を補償しようとするのです。例えば、ブランド品を身に着けて周囲の人に見せつけたり、学歴、家柄、さらには親の職業などを持ちだして自分の実力以上のイメージを出そうとします。また職場で評価されない人が家に帰ると亭主関白になったり、暴力をふるったりする現象(DV)もこの優越コンプレックスのなせる業です。
このように見ると、劣等コンプレックスと優越コンプレックスは、内に向かう(劣等コンプレックス)か、外に向かう(優越コンプレックス)かの方向の違いがあるだけで、劣等感からくるマイナスの補償行動であることがわかります。どちらも決して建設的な行動ではありません。周囲との人間関係は悪くなり、ますます孤立することになってしまいます。
そのなかで、学校における「弱い者いじめ」について見ておきたいと思います。
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自尊心の低い人と「劣等コンプレックス」(12) [自尊心]

自尊心の低い人に起こってくる劣等感はもっと複雑です。
自尊心の低い人は、自分の短所(身体的特徴や能力)を気にしていて、常に他者のよいところと比較して引け目、つまり劣等感を感じています。
しかも、自尊心の低い人は、他者の物差しで自分を評価しますので、他者の基準に達していない自分を受け入れることができず、自分をダメ人間だと評価してしまうのです。
そして、劣等感を感じるような機会を避けたり、無視しようとします。だからといって劣等感そのものがなくなるわけではなく、気にすればするほど逆に劣等感情は大きくなってきます。そして、そのような自分をダメ人間だと責める(自責の念をもつ)ようになり、過度に恥ずかしがったり、引きこもったり、場合によっては開き直ったりといったマイナスの過剰反応をしがちになります。これが「劣等コンプレックス」と言われる現象です。
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自尊心の高い人と劣等感(11) [自尊心]

自尊心の高い人も劣等感をもちます。
ただし自尊心の高い人は、その劣等感を受け入れて、それを克服しようと努力します。
歴史的にも、3重苦を克服したヘレン・ケラー、また、小さい時に吃音だった人が、大きくなって雄弁な政治家になったという話が伝えられています。イギリスのチャーチル元首相やアメリカのバイデン大統領も小さいときに吃音だったということで有名です。
もっと身近な例としては、パラリンピックに出場した選手の皆さんがあります。彼らは心身のハンディキャップに劣等感を感じたはずです。それでも周囲の皆さんの理解と支援を受けて「失ったものを数えないで、残った機能を最大限に活かそう」と懸命な努力をしてそれを克服しています。
このようなプラスの対応の仕方を、(アドラー)心理学では「正の補償行動」と言います。
それができるのは、本人に「こうなりたい」という前向きな目標があり、それを実現したいがために補償行動がでてくるのです。劣等感を感じただけではそれは出てきません。その劣等性を克服して成長したいという思いがあるからこそ起こるのが正の補償行動で、それは成長思考の自尊心の高い人に起こることです。自尊心の高い人は、劣等感をバネにして成長することができるのです。
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劣等感について(10-③) [自尊心]

劣等感は一般的には、人が社会生活を送るに当たってマイナスであると思われているが、マイナスなのは劣等感そのものではなく、劣等感に対する考え方(マインドセット)であることがわかる。劣等感は誰でも感じるものであるが、その受け止め方に違いがあり、それによって対応の仕方(補償行動)も変わってくるのだ。それは、自尊心が高いか、低いかによって表れる違いである。
・自尊心の高い人は自己肯定感が強く、自分が他者と比べて劣っていることに劣等感をもっても、それを受け入れて克服しようとする。これが正の補償行動である。
・自尊心の低い人は自己肯定感が低く、自分が劣っていることに劣等感をもつが、それを受け入れようとしないで隠したり、ごまかしたりして体面を保とうとする。これが負の補償行動である。
これらの点について、少しばかり説明が必要だ。
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