フロー組織をつくる [フロー理論]

これまでは、主にフロー理論をベースにして、いかにしてフローな状態に入っていくか、また、その状態を維持するにはどうしたらよいかを個人の立場で述べてきた。書いたことはそのさわりの部分だけであるが、それをつなぎ合わせると、フロー人間の全貌が見えてくるものと思っている。また、近いうちにまとめて出版するつもりだ。
次に必要なことは、これを組織に応用できないかということだ。つまり、「フロー組織をつくる」というテーマだ。
当然のことだがイエスと言いたい。
それでは、フローな個人が集まりさえすれば、フロー組織が出来上がるかという疑問がでてくる。これにはイエスであり、ノーでもある。(続く)。

フロー組織をつくる [フロー理論]

ブランチャードとワグホーンは、集中することで効果を挙げることについて「エネルギー集中の原理」と関連させて「プロジェクト・コンシャスネス」(プロジェクト意識)として、次のように述べています。

人間のエネルギーは、光のエネルギーに似ている。普通の電球のように光が散ってしまえば、ごく当たり前の用途にしか使えない。だが、エネルギーの強さは同じでも、レーザーのように単一の方向に絞り込むことができれば、あらゆる障害を打ち破るパワーをもつ。(中断)この「エネルギー集中の原理」は、企業など大人数からなるグループの仕事についても当てはまる。ある企業がどれだけの成功を収めるかは、社員が仕事に捧げるエネルギーの総量と、そのエネルギーを統御し、単一の、最も大切な目標に振り向ける能力によって決定されるのだ。(続く)


フロー組織をつくる [フロー理論]

「組織のなかで、メンバーが共通のテーマに楽しんで熱中して取り組んでいる状態」をフロー組織と定義したい。そして、その結果としてハイ・パフォーマンスをあげることになるのだ。
このような組織をつくることは難しい。しかし不可能ではない。ここではその条件を探ってみたい。
さて、以上のような組織をつくるためには何を検討する必要があるだろう。
①どんなメンバーが必要か?
②どのような課題(テーマ)に取り組むか?
③メンバーの動機づけをどうするか?
④リーダーシップについてはどう考えるべきか?

チームビルディング [フロー理論]

フロー組織をつくるためにはどんな人材を集めるのが効果的かというチームビルディングの問題である。
その答えは、「自尊心の高い人」を集めることだ。以前にもこの欄で書いたと思うが、自尊心というと、日本では悪い意味で使われることがほとんどだ。尊大だ、プライドが高い、虚栄心が強い等々、いずれも悪い意味で使われている。そして、語尾にはたいてい「やつ」がつく。「あいつは自尊心の高いやつだ」と。
これはあべこべの使い方だ。自尊心の本来の意味は、文字通り「自分を尊ぶ心」で、過大評価することもなく、過小評価することもなく、自分自身を適正に評価し、もっとよくなろうと思う心のことだ。
すなわち、謙虚であることが第一条件であり、さらによくなろうと向上心をもつことが第二の条件である。
このような人は、他人を競争者ではなく、自分のパートナーとして考えることができる。
すなわち、自分が「成長」するためには、他人の支援を喜んで受けることができるし、一方、他人に対して喜んで支援の手を差し伸べることもできるのだ。
つまり、お互いに持っていない部分を補い合って、全体最適を考えられるチームづくりには、このような共生の生き方ができる人、すなわち「自尊心の高い人」を集めることだ。(続く)

どんな課題に取り組むか [フロー理論]

次のテーマは、どんな課題に取り組むかだ。
たとえ自尊心の高い人を集めても、メンバーがそれぞれ独立した仕事をしているような組織では、フロー状態をつくれるかどうかは、一人ひとりの問題であり、組織の問題ではなくなる。
フロー状態をつくるためには、皆が同じテーマに取り組んで、それぞれが役割分担しているチームだ。その意味では、団体競技であるスポーツ―野球、バスケットボール、サッカー、ラグビーなど―にあてはまる。
これらのスポーツでは、よく「チーム一丸となって・・・をめざす」という表現を使う。
目標は明確だ。時間の制約もある。そのなかで、メンバー全員が自分の仕事(役割)をしっかり遂行したうえで、他のメンバーを助ける、つまりアシストすることが勝利につながるのだ。だから、これらのプレイでは、点を入れた選手だけでなく、アシストした人も評価されるのだ。
そのようなチームはフロー状態になれる。(続く)。

分業による協業 [フロー理論]

これらのチームに共通するのは「分業による協業」の関係だ。この概念は産業構造の文脈で語られることが多いが、ここでは、組織の中の役割分担という意味で使うことにする。
すなわち、まず、チームメンバーはそれぞれ違った役割を担う。そして、メンバー一人ひとりはそれぞれの立場でしっかりと自分の役割を果たすことが求められている。これが分業だ。
そのうえで、他のメンバーの動きを見ていて、ボールをパスするなり、守りを固めるなりして勝利という共通目標に向かって協力し合う。これが「協業」だ。
この「分業による協業」をスムーズに適格に行えるチームは強い。たとえ、スター選手がいても、一人では戦えない。他のメンバーの協力があってはじめて、そのスター選手の力が発揮できるのだ。それをメンバー全員が心得ていて、試合でそれを発揮できる。これがチームワークであり、メンバーも他のメンバーが力を発揮するのを見て喜べる。・・・これが フローの状態にある組織のことだ。 (続く) 

シナジー効果 [フロー理論]

 日本では、チームの効果性について二つの言い方がある。一つは「3人寄れば文殊の知恵」、もう一つは「烏合の衆」である。
このうち、「3人寄れば文殊の知恵」は、「Win-Winの関係をつくれば、シナジー効果がはたらいて、1+1>2という成果が期待できる」という意味で用いている。
もう一つの「烏合の衆」は、「人が集まっても、Win-Lose またはLose-Winの関係のなかでただ議論するだけでは、1+1<2という結果しか出ない」という意味で使っている。
フローは、もちろん「3人寄れば文殊の知恵」でなりたつ現象である。そこには、大げさな言い方をすると、正ー反ー合という弁証法的な問題解決のプロセスが期待できるのです。(続く)


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