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21世紀を担うリーダー養成講座通信(8) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

7.7月24日(土)に次のお二人の講義がありました。
・柳川元信氏((株)ソフトブリッジ グローバルスタディーズ社長)の「21世紀はインドの世紀」
・山口俊宗氏(経済人コー円卓会議日本委員会ディレクター)の「企業の社会的責任(CSR)」

(1)柳川元信氏の講義要旨:
柳川氏は,「グローバリゼーションは、IT化を背景に国家の壁を超えて情報が飛び交う流れをつくり、国家よりも個人が重視されるようになった。インドを見るときもその目線が必要だ」と言われる。
インドは、人口は第2位、GDPは11位だが、世界の個人のお金持ち上位10人のうちに4人(アメリカは2人)も入っており、IT技術者は1位でアメリカのIT関連の企業には軒並みインド人が大勢働いている。
その背景には、インドの教育制度がある。7歳(小学校)から22歳(大学)までの間の年間授業時間は日本の11,020時間に対してインドは17,654時間である。特に差があるのは大学で、日本の2,250時間に対してインドは5,136時間と2倍以上ある。しかも彼らは英語を話せるという長所をもっている。
このように、インドをマーケットや労働コストという観点から見るよりも、知的資源という観点から見る必要がある。
アメリカはすでに研究開発拠点をインドに移しているし、企業のコールセンターもインドに移している。政府もインドとの関係を強化し、対中国、対イスラム圏の情報拠点にしている。
それに比べると、日本はインドとの関係では出遅れている。もっとインドを重視してよい。
これまでは、G2(アメリカと中国)やG8という枠組みがあったが、これからは「アメリンド(アメリカとインド)対その他」という構図が見えてくるはずだ。2010_0724画像0110.JPG

(2)山口年宗氏の講義要旨:
山口氏は、まずCaux Round Table(CRT)の由来を説明され、1986年に通商摩擦問題を解決するために日米欧の経済人がスイスのコーに集い、話し合いの場をもったことが起源であり、その後の議論を通じてCRTの「企業の行動指針」を打ち出し、経団連企業行動憲章や国連グローバル・コンパクトのモデルになっている。
CSRについて色々な定義があるなかで、CRTは「企業の成長と社会の発展のベクトルを合わせる経営」とし、具体的には「企業を取り巻くステークホルダーや社会の期待・要請に耳を傾け、長期的な企業価値の向上に繋げていこうとするマネジメント」としている。
この考え方は、金融危機を生み出す背景となった自由主義経済に対して,Moral Capitalismを提唱するものである。
企業に求められる姿勢としては、次の3つの原則がある。・・・経団連が準拠。
原則1.企業の責任(使命)
本業により富と雇用を創造し、全てのステークホルダーに価値を提供する。
原則2.企業の経済的・社会的影響
事業活動を通じて地域社会の経済的発展、社会的発展に貢献する。
原則3.企業の行動(信頼)
社会に開かれた誠実な行動により、全てのステークホルダーとの信頼関係を築く。
なお、この運動を社内展開するために、CRTは自社の視点と社会の視点を取り入れた「マテリアリティ(重要性)アプローチ」という手法をもっており、今回講義の中でその一部を体験することができた。これは経営レベルで使えそうな気がする。
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リーダー養成講座通信(9) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

8月7日(土)は、次のお二人の講義がありました。
C・レイク氏(前在日米国商工会議所会頭、AFLAC会長)の「オバマ政権と日米関係」
小長啓一氏(元通産省事務次官、AOCホールディングス参与)の「GCC諸国と日本」

C・レイク氏の講義要旨:
C・レイク氏は日米関係を次の6つの視点で説明された。
「安全保障戦略と経済」「オバマ政権の国内経済政策」「オバマ政権の対外経済政策」「日米関係と日本の選択」「変化への対応が求められる日本」
 このなかで、オバマ政権は「新たな時代にアメリカがリーダーシップを発揮するためには、まずアメリカのパワーの源泉である経済を回復させることが不可欠である」との認識にたって「克服すべき5つの課題」に取り組んでいる。それは「金融規制改革」「21世紀の健康保険制度」「代替エネルギーと技術の活用」「競争力と技術力を兼ね備えた人材」「財政規律の確保」である。このうち、金融規制改革および健康保険制度については短期間に実現させ、残りの3つの課題に取り組んでいる。これらをバランスよく実現して成長軌道に乗せるのが「オバマノミクス」である。
 外交政策については、アメリカは「強固な同盟関係の前提」として、
①基本的価値観を共有しているかどうか
②共通の利益を追求しているかどうか
③歴史と実績を積み上げているかどうか
という3つの基準をおいていて、日本はこの基準を満たしてきた。そして「日本はアジアにおける最も重要な同盟国である」という認識は変わらない。しかし、民主党政権になって国家ビジョン(安全保障政策を含む)がぐらついている。改定50周年を迎えた日米同盟はこの前提条件を満たすのか。そして、「もう日本には黒船は来ない」、外圧で決めるのではなく、自分たちの未来は自分たち自身で決めなければならない、と警鐘を鳴らされた。
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小長啓一氏の講義要旨:
GCC諸国にとって、石油はこれまでも、これからも戦略商品には違いないが、石油に頼ってきたモノ・カルチャーから脱却して新しい産業育成を始めている。現在顕在化しているのは次の6つであるが、日本も本気になって関係強化を図っていく必要がある。
①原発
②鉄道
③水
④太陽熱、太陽光
⑤CO2排出ゼロを目指す実験都市
⑥医療・ヘルスケア
 このうち、UAEの原発建設では、韓国に敗れた。プラント建設にしろ、水のビジネスにしろ、日本は機器の販売という視点でビジネスしようとしているが、GCC諸国は設置後の運用全体を求めているのだ。
 GCC諸国とのビジネスの留意点について説明されたあとで、中東で問題になっている3つ問題について説明された。
①イラン問題
②イラク問題
③イスラエル・パレスチナ問題
いずれも微妙な問題で、これらの問題をどのような視点で見ると本質に迫れるかを話された。
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リーダー養成講座通信(10) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

8月21日(土)は、次のお二人の講義がありました。
・岩崎慶市氏(産経新聞論説委員)の「政権交代で日本はどう変わったか」
・石原信雄氏(財団法人地方自治研究機構会長)の「地方分権はどう変わるか」

岩崎慶市氏の講義要旨:
民主党政権ができて1年になるが、もう総理が変わり、政策は中途半端になっている。
民主党の政策のスタンスは「供給サイドから需要サイド」であり、
(1)コンクリートから人へ
(2)所得控除から税額控除・給付へ
というスローガンのもとに政策が打ち出されている。今年度の予算を見ても公共事業を大幅に削減して社会保障費を増加させている。
子ども手当、高校の無償化、農業の個別所得補償、高速道路の無料化などの政策はいずれも需要サイドに立ったものである。これは経済政策ではなく社会政策である。
菅政権になって、「強い経済、強い社会保障、強い財政」と「第三の道」を模索しようとしているが、参議院選挙で迷走した消費税の引き上げを凍結しそうで、「強い経済、強い財政」がどのようになるか全く見えてこない。
政策決定プロセスも「政治主導による内閣一元化」を打ち出し、国家戦略室が司令塔になるはずだったが、これが機能していないだけでなくいまだに司令塔ができていない。
民主党政権が続くかぎり、すべてが中途半端に終ってしまうだろう。
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石原信雄氏講義要旨:
民主党政権の国政運営の基本姿勢は次の二つである。
(1)官僚主導から政治主導へ
(2)中央集権から地域主権へ
このうち、地方分権の問題は、2010年6月22日に閣議決定した「地域主権戦略大綱」に集約されていて、次の2つの柱から成り立っている。
①国の出先機関の原則廃止
②(地方)交付金の一括交付金化
国家公務員は約30万人いるが、そのうち20万人が出先機関で働いている。これを廃止して地方に移管するという議論は、これまでも議論されてきたが、縦割り行政の壁に阻まれてなかなか実現しない。
これを実現するためには、①国・地方の役割分担の最適化、②行財政運営の最適化・効率化、③ガバナンスの確保 の三つのことを明確にした上で、よほどの政治力をもってしないとなかなか実現しないだろう。
また、交付税の一括交付金化については、「地方主権」を確保するには、「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするのが趣旨である。
しかし、この交付金(補助金)は、各省庁がその政策を実行する上で最も効果的な手段となっているもので、中央官庁による地方公共団体の統制支配の手段になっているものである。ドラスティックな改革だけに、各省庁の強い抵抗が予想される。
また、道州制については「道州制の検討も射程にいれていく」としており、本気なのかどうかを疑いたくなる表現になっている。
今回の参議院選挙により、ねじれ国会となってしまって、どこまで民主党がこれらの政策を実現できるかは難しいと言わざるをえない。
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リーダー養成講座通信(11) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

9月4日(土)は、次のお二人の講義がありました。
・尾崎 護氏(元大蔵省事務次官、矢崎総業顧問)の「中国経済の現状と展望」
・山本良一氏(東京大学名誉教授)の「地球環境問題」

(1)尾崎護氏の講義要旨:
 尾崎氏は、まず中国における党と国務院(政府)との関係を取り上げられ、党の優位性を説明された。そのうえで、中国の経済問題の説明に入られた。
中国マクロ経済政策のキー・ワードは次の3つであるが、いずれも国(党)がコントロールしていて、リーマンショックを克服しているように見える。
・経済に比較的速い発展の維持
・経済構造の調整
・インフレ期待の管理
中国は第2四半期にGDPがドルベースで日本を追い抜き、アメリカに次いで世界第二位になった。そして、日中の伸びを前提にすると、年度ベースでも日本を追い抜くのはほぼ確実となった。ただ、中国当局は、一人当たりGDPではまだまだ低く発展途上国だとして謙虚さを保っている。
元が安いとの批判に対しても、言い訳程度に上げたがすぐに元に戻してしまって貿易黒字を溜め込んでいる。対米関係では強気である。金融政策としては、金利政策は機能していないに等しく、預金準備率の引き上げや窓口規制をとっている。
国内には、都市部と農村部の格差、住宅インフレなど解決しなければならない問題を抱えている。
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(2)山本良一氏の講義要旨:
 山本氏は、「人類のエネルギー使用により、CO2の排出量が増えてきたのが地球温暖化の基本的な問題だ。温暖化ガスの排出量は、2000年にIPCCが想定した最悪のケースを超える勢いで増加している。このままでは、2030年の段階で産業革命時に比べてセ氏2度の気温上昇は避けられない。Point Of No Returnはすぐ目前に迫っている。」と警告を発せられる。
すでに温暖化の影響(台風や竜巻、水不足、食料不足など)は色々な面で出ている。このまま放置すれば、地球は灼熱地獄になる。それを避けるためには、石油依存の経済から再生可能エネルギー中心の経済へ世界規模で転換しなければならない。
それができなければ、強制的に地球を冷やす技術であるジオ・エンジニアリングを使うしかないという議論が起こってきている。これには副作用が考えられる(地球の温度は下がるかもしれないが、青空はなくなり、水不足、食料不足などの地域が増える)。
いずれにしても、残されている時間は少ない。リーダーの責任は重い。
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リーダー養成講座通信(最終) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

 9月25日(土)は、下記の通り研究発表と修了式がありました。。受講生の皆様は、過去6ヶ月の成果をそれぞれの立場から発表されました。そして修了式では一人ひとりに学長から終了証書が渡され、無事に6ヶ月間を終えることができました。
その後で懇親会に臨み、OBも参加されて6ヶ月間の研修の労いと今後の活躍を誓い合いました。
なお、第六期は2011年4月9日(土)~9月17日(土)に開催されることが事務局から発表されて終了しました。

9:55-10:00  発表の手順およびスケジュールの説明
10:00-10:30  堀越 直人(ソフィア) 「ITと人とのつながり」
10:30-11:10  中澤 茂(国際保険)、佐藤 新(AFLAC)「アフラック・バリューの追求」
11:10-11:40  米澤 光治(原電事業)「原電事業の『理念』へのアプローチ」
11:40-12:10  小松 秀春(セレナ)「中小企業とリーダーシップ」
12:10-13:10  昼食
13:10-13:40  岡部 俊一(矢崎総業)「矢崎グループにおける電線事業のあり方」      
13:40-14:10  二宮 秀樹(矢崎総業)「矢崎グループのグローバル戦略」
14:10-14:40  塩原 永久(産経新聞)「ニュースはタダなのか?」
14:40-15:10  松尾 秀昭(ゼロム)「永続的な企業成長のための事業戦略と悩み」      
15:10-15:40  根本 幸治(野村アセットマネジメント)「人生おもしろ研究所を創る」

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