リーダー養成講座通信(11) [21世紀を担うリーダー養成講座2010]

9月4日(土)は、次のお二人の講義がありました。
・尾崎 護氏(元大蔵省事務次官、矢崎総業顧問)の「中国経済の現状と展望」
・山本良一氏(東京大学名誉教授)の「地球環境問題」

(1)尾崎護氏の講義要旨:
 尾崎氏は、まず中国における党と国務院(政府)との関係を取り上げられ、党の優位性を説明された。そのうえで、中国の経済問題の説明に入られた。
中国マクロ経済政策のキー・ワードは次の3つであるが、いずれも国(党)がコントロールしていて、リーマンショックを克服しているように見える。
・経済に比較的速い発展の維持
・経済構造の調整
・インフレ期待の管理
中国は第2四半期にGDPがドルベースで日本を追い抜き、アメリカに次いで世界第二位になった。そして、日中の伸びを前提にすると、年度ベースでも日本を追い抜くのはほぼ確実となった。ただ、中国当局は、一人当たりGDPではまだまだ低く発展途上国だとして謙虚さを保っている。
元が安いとの批判に対しても、言い訳程度に上げたがすぐに元に戻してしまって貿易黒字を溜め込んでいる。対米関係では強気である。金融政策としては、金利政策は機能していないに等しく、預金準備率の引き上げや窓口規制をとっている。
国内には、都市部と農村部の格差、住宅インフレなど解決しなければならない問題を抱えている。
DSC00426.JPG

(2)山本良一氏の講義要旨:
 山本氏は、「人類のエネルギー使用により、CO2の排出量が増えてきたのが地球温暖化の基本的な問題だ。温暖化ガスの排出量は、2000年にIPCCが想定した最悪のケースを超える勢いで増加している。このままでは、2030年の段階で産業革命時に比べてセ氏2度の気温上昇は避けられない。Point Of No Returnはすぐ目前に迫っている。」と警告を発せられる。
すでに温暖化の影響(台風や竜巻、水不足、食料不足など)は色々な面で出ている。このまま放置すれば、地球は灼熱地獄になる。それを避けるためには、石油依存の経済から再生可能エネルギー中心の経済へ世界規模で転換しなければならない。
それができなければ、強制的に地球を冷やす技術であるジオ・エンジニアリングを使うしかないという議論が起こってきている。これには副作用が考えられる(地球の温度は下がるかもしれないが、青空はなくなり、水不足、食料不足などの地域が増える)。
いずれにしても、残されている時間は少ない。リーダーの責任は重い。
DSC00428.JPG

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。