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8.マクゴニガル教授のストレス反応理論(5) [ストレスを味方につける]

これら3種類のストレス反応のうち、これまでは「心身に負荷をかけるストレス」として適用されたのは「闘争・逃走反応」でした。しかし、この考え方でいけば、命の危険に関わる緊急事態でもないかぎり、ストレス反応は起こるべきではない、ということになります。つまり、「ストレスを感じるのは心理的な欠点や弱さのせいであり、直すべきだ」というわけです。ところが、これは生存のためには必要な反応ではあっても、その他すべてのストレス反応をこれで説明するには無理がある。現在ではそのようなケースのほうが稀であり、ミスマッチなストレス反応であり、ストレス反応の「ミスマッチ理論」と呼ばれています。
そして、命の危険を感じない平常時でもストレスを感じるのは普通のことで、それをパターン
化すると、大きく2つの反応―「チャレンジ反応」と「思いやり・絆反応」―があると言います。
とりわけ、目標遂行との関係でいえば、このうちの「チャレンジ反応」であることも明らかです。
つまり、遂行時に感じるプレッシャーや不安こそが、私たちを頑張らせてくれるエネルギーになるというのです。
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9.「不安を逆手に取る」チャレンジ反応(6) [ストレスを味方につける]

マクゴニガル教授も、今までなら闘争・逃走反応として説明したであろう次のようなケースを持ち出してチャレンジ反応として説明しています。
 「重要なプレゼンをすることになった。本番はあと数分後に迫り、あなたは緊張して全身に不安を感じている―心拍数は上がり、額や手に冷や汗が出て、胃がキリキリ痛む」
このようなとき、ほとんどの人は「大事なプレゼンを台無しにするサイン」とみなして、「いま大切なことは、落ち着くことだ」と考えます。そして、落ち着こうと努力しますが、努力すればするほど逆に不安が募ってくるものです。私たちに馴染みの現象です。
 これに対して、教授は、「最新の研究では、全く正反対のことがわかってきています。不安を感じることがどれほど嫌いでも、実はこの不安こそが、私たちを頑張らせてくれるのです」と述べて興味ある研究(実験)を紹介しています。
次回にそのポイントを説明したいと思っています。
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10.「不安を逆手に取る」チャレンジ反応(7) [ストレスを味方につける]

前述した研究のあらましは次のようなことです。
・講演を目前に控えたひと数人に対して、研究者が、「ワクワクする」と自分に言い聞かせるようアドバイスしました。同じように講演を目前に控えた別の人たちには、「できるだけ落ち着くよう」アドバイスしました(ほとんどの人がやりそうなことです)。
どちらの方法も、講演者のイライラを取り除くことはできなかった。2つのグループのどちらも、「スピーチする際に、変わらず不安を感じた」と報告している。
しかし、イライラを「ワクワクする」という”興奮“として解釈した参加者は、自信にあふれ、準備が整ったように感じたという。講演を聞いた人も、落ち着こうと努力した人と比べて、彼らのほうが説得力があり、能力があるように見えたと評価している。
 教授によれば、その他の多くの研究でも同じ結果になっているという。そして、不安を受け入れ、「不安は自分の助けになる」と言い聞かせれば、人は自信をもち、いいスピーチができると結論づけています。さらに、スピーチに限らず、他のことにも言えることだと述べています。
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11.「不安を逆手に取る」チャレンジ反応(8) [ストレスを味方につける]

教授は、多くの事例を紹介したうえで、不安を感じている症状は「チャンスを台無しにするサイン」ではなく、「『今こそ、自分を待ち受けるチャレンジ(仕事や問題)に立ち向かう時だ』ということを、体が理解しているサイン」だというのです。
 このように、ストレスに対する考え方を変える(マインドセット・リセット)ことで、見えている事象の意味が変わってくるということだ。
 つまり、不安になり、ドキドキして心臓の鼓動が速くなり、体が緊張するなどの症状は「チャレンジ反応」と呼ばれる反応のひとつで、「大切なことを達成するのに必要な力をまとめる」という生物学的な本能なのだと言います。したがって、不安やイライラを感じたら、それを「ワクワクする」という興奮として解釈し、受け入れるならば、(DHEAやドーパミンが分泌されて)困難に立ち向かう助けになるのだ。
そして、「自分の目標を達成するために、今この瞬間に、私が取れる行動や選択は何だろう」と自問することだ。この方法は、人生で不安を感じ取った時にいつでも、使うことができる、というのだ。
そして、決してやってはいけないことは、「いい結果を出すためには、不安を取り除くことである」と考え、不安を抑えることにエネルギーを費やすことだともアドバイスしています。
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12.マインドセット介入(9) [ストレスを味方につける]

これまで述べてきたことではっきりしたことは、ストレスに対する考え方を変える必要があるということだ。あとは、その考え方を変えるにはどうしたらよいかということになる。
教授は、ストレスに対する考え方を変えることによってパフォーマンスがどうなるかを検証するため、「マインドセット介入」とういう簡単な方法を紹介している。そして、これ以外にも多くの事例を紹介し、この介入の方法が考え方を変えるのに効果的であると証言している。
ロチェスター大学のジェイミソン教授は、「ストレスの効果」を検証するため、大学院進学適性試験を控えた学生を対象に、下記のマインドセット介入実験を行った。まずストレス反応を測定するためにテスト前と後に唾液が採取された。半数の学生は、試験前に「ストレスを感じるとテストの結果がよくなるという研究結果がある」という「ストレスの効果」について書かれたメッセージを読んだ。一方でもう半分の学生は、こうしたマインドセット介入を受けなかった。
 結果はどうだったか。介入を受けたグループは介入を受けなかった対照群に比べて、テストで高得点を獲得した。また、介入を受けたグループでは、強いストレス反応を示した人ほど、テストの点数が高いという傾向が見られた。逆に対照群では、ストレス反応とテストの点数には関連性は見られなかった。つまり、「ストレスの効果」について認識が高まると、ストレスをうまく利用できたのである。
 しかも、実験の3か月後、学生たちは本番の大学院進学適性試験を受験した時も、両グループの成績差は広がっていた。このことから、マインドセット介入は、その効果が持続するといえる。
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13.チャレンジ反応―ストレスと生産性の関係(1) [ストレスを味方につける]

チャレンジ反応については、他の研究者によるいくつかの研究がありますが、ここではその一つを紹介します。
まず、ストレスの量と生産性(パフォーマンス)について研究した人たちがいます。アメリカの心理学者ロバート・ヤーキーズとジョン・ドットソンの2人です。
彼らによれば、生産性はストレスがあり過ぎても落ちるが、なさ過ぎても落ちる、適度のストレスがあるとき生産性が上がるといいます。たとえば、大切な会議でプレゼンをすることになっていて、適度な緊張から注意力や集中力が高まり、プレゼンの本番で成功するというケースがそうだ。しかし、ストレスと生産性との正の相関関係は、ある一定のところまでしか続きません。そして、ストレスがある一定のレベルを超えると、生産性は低下します。
そして、時間に追われるとか、過労、責任の増大などのストレスが高じると、仕事の生産性が落ちるばかりか、燃え尽き症候群になって仕事が手につかないことが出てきます。
一方、ストレスがなさ過ぎては退屈を感じるだけでやる気も起こらないし、効率は上がらない。すなわち、ストレスがないと何の張り合いもなく、やる気が起こらないということです。そのため、新たな行動を起こすことはありません。
このようにして、ヤーキーズとドットソンは、下記の図(省略)のように、ストレスと生産性は「逆U字カーブ」を描いているといいます。そして、この関係は2人の名前を冠して「ヤーキーズ・ドットソン法則」と呼ばれています。
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14.チャレンジ反応―ストレスと生産性の関係(2) [ストレスを味方につける]

ちなみに、ストレスの有益面をさして「快ストレス」(eustress),有害面をさして「不快ストレス」(distress)と呼ぶこともあります。これは脳の働きと関係しています。すなわち、快感神経からドーパミンが分泌されるのは、「難しすぎない、易しすぎない」課題に適度の緊張感をもって取り組んでいるときだということです。
したがって、先述したストレスと生産性の図は、成功の確率とやる気の関係を表示した図(逆U字カーブ)と重なっていることがわかります。
このように、ストレスレベルからみて、心身が効率よく、気持ちよく動く度合いには一定のゾーンがあるということが見えてきます。
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