21世紀を担うリーダー養成講座(8回目) [リーダー養成講座]

1月26日(土)、次のお二人の講義がありました。
・尾崎護氏(矢崎総業顧問、元大蔵省事務次官)の「中国の近況」
・山本良一氏(東京大学名誉教授)の「日本のエネルギー政策と地球環境問題」

1.尾崎守氏の講義要旨:
 尾崎氏は、まず「中国共産党と国家組織との関係図」にもとづいて、党の優位性を説明され、軍も党に所属し、裁判所も党組織の下に位置付けられている。国務院も党のもとにおかれ、政治局の序列では、国務院首相の序列は共産党総書記の下にある。それだけ、党の力は強いのだ。
今回総書記に選ばれた習近平氏は、就任に当たり汚職の追放を強調された。汚職は中国の持病と言われており、貧富の格差の拡大(2010年にはジニ係数が0・61となり、社会の安定に危険な水準とされる0.6を上回る)が社会問題となる中で、権力者の腐敗に対する国民の怒りは大きくなるばかりだ。格差を是正することは、習体制にとって喫緊の課題となっている。
次いで尾崎氏は、中国を知るためには、「中華人民共和国憲法」をわきまえておく必要があるとして、その序言を読みながら解説を加えられた。憲法は時代の変化に合わせて改正されてきているとはいえ、権力の軌跡が読みとれる内容になっている。
総綱第二条(政体)には、「中華人民共和国の一切の権力は、人民に属する。」
第三章(民主集中制)②には「全国人民代表大会及び地方各級人民代表大会は、すべて民主的選挙によって生み出され、人民に対して責任を負い、人民の監督を受ける」などの条文がある。年始に起きた「南方週末」事件はまさに憲法の理念を実現しようと指摘して当局に睨まれたことだ。ただし、中国のネット人口は4.5億人とも5億人とも言われ、あっという間に広がるので、政権にとって世論対策が重要になっている。

2.山本良一氏の講義要旨
 山本氏は「地球は2010年、二酸化炭素など主要な温暖化ガスの平均濃度が過去最高になり、危機的な状況になった。」として、いろいろなデータを用いて説明された。
すなわち、世界のCo2の排出量は9,000万トン/1日、年間335億トンとなり、これはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最悪のシナリオを上回る勢いだ。
そのため、北極海の氷が解けるスピードが予想以上に進み、あと3年もすれば溶けてしまう。その原因の70~95%は人間起源の温暖化ガスだ。そして、多くの学者が、この現象がジェット気流を減速・蛇行させ、大寒波、熱波、干ばつといった世界規模の異常気象の原因になっていると指摘している。このままいくと、世界の平均気温の上昇を産業革命時比2度以内に抑制することはほとんど不可能に近い。
日本は、科学者の警告に対してもっと耳を傾けるべきだ。まずは安全で温暖化ガス排出量の少ないエネルギーの安定供給を担保できる道を検証し、20年までに少なくとも25%、50年には80%温暖化ガスを削減するという旗を降ろすべきではない。
今求められているのは「エコ神学の倫理と自然資本主義の精神だ」と強調された。

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