[21世紀を担うリーダー養成講座」 [21世紀を担うリーダー養成講座2011]

10月29日(土)には、次のお二人の講義がありました。
・粂 博之氏(産経新聞)の「岐路に立つエネルギー政策」
・小長恵一氏(元通産省事務次官)の「中東情勢の激変とわが国の戦略」

1.粂 博之氏の講義要旨:
まず、3月11日の東日本大震災後の原発をめぐる動きについて解説された。
(1)電力需給のバランスが崩れ、今夏の節電要請+使用制限令の動き
(2)定期検査で停止中の原発再稼働の延期
稼働中の原発は54基中10基。来春には0になる可能性がでてきた。
ストレステストを終えて早く再稼働したい電力会社と地元自治体もあるが、世論を押し切ってそれを認める知事はいないのではないか。
(3)電力供給の29%を占めている原発が止まると、供給不足は目に見えており、それに代わるものとして太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーがあげられている。しかし、ネックとしてコスト高、供給の不安定性があり、そう簡単には代替するまでにはいかない。
(4)いっぽう原発は、二酸化炭素排出削減という命題のもとに推進され、2020年には25%削減するという国際公約のベースになっている。
(5)これらのことを総合的に考えると、最終的にはベストミックスという視点でその割合が決まってくると思われる。
次に、「発送電分離と電力自由化」、および「総括原価方式の見直し」について触れられ、今こそこれらの問題を真剣に議論して結論を出す時期ではないか。
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2.小長恵一氏の講義要旨:
中東には、ほぼ10年おきに大きな変化が起こっている。
前回は湾岸戦争が起こった。今年になってチュニジアに始まり、エジプト、リビアに飛び火した民主化運動は他の国にも広がっている。その背景としては次の6つが考えられる。
(1)長期の強権・独裁政権の下で政治的自由がなかった。
(2)若年層を中心とする失業が一般化した。
(3)生活用品価格が上昇し、日常生活が厳しくなった。
(4)所得格差が拡大し、貧困層が増大した。
(5)権力者層の汚職、腐敗が増加した。
(6)Facebook 等IT革命やアルジャジーラ等の衛星放送の影響
この運動がどこまで広がるかは国によって違っている。そして、これらの動きの中で米国の影響力は確実に低下してきている。
そんななかで、日本は中東戦略を考えるにあたって、次の4つを考慮する必要がある。
(1)日本は武器輸出も武力介入もしたことのない唯一の先進国
(2)日米安保を踏まえながらも、相対的に独自の立ち位置をしめることは可能
(3)経済協力、技術協力の推進
インフラ輸出(特にサウジ)・・・原発、水(淡水化、上下水道)、鉄道など
(4)3.11を踏まえたわが国のエネルギー戦略との関連
中東とは、石油、ガスは依存を小さくしながらも関係を維持していく必要がある。
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