下り坂で見える風景(13) [男の居場所]

下り坂にさしかかって来ると、見える風景も変わってくる。
上り坂のときは、周囲の風景を見る余裕もなくただひたすら頂上を目指して登っていった。視界に入るのは、登っていく道中の近景だけであった。
しかし下りに入ると、足元の近景だけでなく遠景も見えるようになってくる。そして、変化していく風景を楽しむ余裕がもてるようになる。しかし、下り坂では、登るときほどエネルギーは使わないのだが、登るときに体力を消耗したものだから、疲れを残したまま下ることになる。そして、登っているときに感じたワクワク感はもうない。

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