囚人のジレンマ(8) [ゲームの理論]

私たち大人の生き方はそのまま子育てのスタンスとして反映され、子供に伝えられます。すなわち、私たちは子供に対して「他人や社会に迷惑をかけないような人間になりなさい」と言ってきたはずです。それ自体は当たり前のことですが、その背景に現代の大人の生き様が見えてきます。すなわち、子供が傷つくのを恐れるあまり、安全第一の世渡りを願って、他人とのかかわりをできるだけ消極的にすまそうという考え方です。社会とのかかわりにおいても、「迷惑をかけなければそれでよい。頼まれもしないのにわざわざ自分のほうから苦労を買って出ることはない。失敗でもしたら傷つくのは自分だけだ。自分のことだけ考えて無難に生きるのがなによりだ」と思っているのです。

 そういう親の気持ちを反映してか、最近の子供たちは学校でクラス委員など割に合わないと引き受けないし、掃除などやろうとしないという話を聞きます。クラスのために頑張るとか、責任を果たす行為は、エエカッコシがやることで、仲間うちからは決して評価されないのです。そればかりか、仲間の誰かがやろうとすると、妨害されたり、イジメの対象になったりします。

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