仮面を被る(16) [男の居場所]

自分が出世競争に敗れたと自覚することはつらいことだ。それはその人にとって大きな挫折経験になる。会社に留まる限り癒されることなく心の傷として残る。それまでは、どちらかというと順風にのってきたものが、一挙に逆風が吹いてくるように感じるのだ。
周囲から“あの人は競争に負けた”といううわさが聞こえてくると、いっそうその“寒さ”が身にしみてくるが、そこは我慢を決め込んで知らん顔をする術も身についてくる。いわば仮面を被ることになるのだ。

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