21世紀を担うリーダー養成講座 ブログトップ
- | 次の7件

21世紀を担うリーダー養成講座通信(9) [21世紀を担うリーダー養成講座]

7月25日(土)は、次のお二人の講義がありました。
松尾文夫事務所代表の松尾文夫氏「世界、アメリカと日本」
マルチカルチャラル・プレーイングフィールド社代表の渥美育子氏「異文化と企業経営」

松尾文夫氏の講義要旨:
松尾氏は、共同通信社および独立した後も一貫してアメリカを取材してきた結論として、「日米関係は開国以来すれ違っていて、本当に理解し合っているとはいえない」という。
日本は、黒船の来航によって開国し、経済的にも文化的にもアメリカから数々の恩恵を受けてきたが,精神的にはアメリカを理解しようとせず、欧州志向を通してきた(岩倉使節団の結論でもあった)。
日本がアメリカと戦争を起こしたのも、アメリカとの間にすれ違いがあったのが原因だ。
そして、戦争に負けたのに敗戦と言わないで終戦といい、占領軍と言わないで進駐軍と言うなど、ドイツとは基本的に認識が違う。日本が真珠湾攻撃をして開戦し、アメリカが原爆を投下して終結した・・・そのことについてのわだかまりを払拭する意味からも、アメリカ大統領の広島(長崎)訪問、日本の総理の真珠湾訪問が必要で,そこから新しい日米関係が築かれていく。
アメリカは、一極支配の時代が終ったことを認識しており、どのような枠組みで世界をリードしていくかを模索している。G8,G20の他にG2(アメリカと中国)という考え方が出てきている。両国との間にどのような関係を築いていくか、しっかりと見極めなければならない。
DSC00185.JPG

渥美育子氏の講義の要旨:
渥美氏は、25年間英語圏で異文化マネジメントの研究と研修を行ってきた経験から、「経済がグローバル化した今、日本の経営は大きな転換を迫られている」と強調する。
すなわち、日本企業は海外に進出した時、日本のやり方を現地に持ち込もうとして失敗するケースが多かったが、これは、文化と言語を共有した者同士がプロジェクトを行うやり方を押し付けようとしたために起こることだ。
それに対して、グローバル化というのは、世界の視点から日本を見る、いわゆる俯瞰の視点が必要だ。これは、文化も言語も違う人たちが寄り合ってプロジェクトを行うためには多様性を受入れてそれを活かしていくという考え方だ。
つまり、自国発(日本から外を見る)のモデルではなく、世界発(世界→日本→世界)のモデルが必要になる。
その上で渥美氏は、世界を次の3つの文化コードに分類し、モラルコードに属する日本は,他のコードの特徴を学ぶことにより、「Think globally」できる人材を育成して、世界で活躍できるようにしていく必要がある、という。
講義は、用意された<文化の世界地図>を使って、それぞれのコード圏でのカルチャラル・モティベーターとカルチャラル・ディモティベーターを例をあげながら説明されたので、経営に多様性を受入れてうまく活用することの必要性を理解できたものと思われる。
○ 文化コード
・ モラルコード・・人間関係中心
・ リーガルコード・・ルール中心
・ レリジャスコード・・神の教え中心
・ (ミックスコード・・2つのコードが交じり合ったもの)
DSC00189.JPG


21世紀を担うリーダー養成講座通信(10) [21世紀を担うリーダー養成講座]

8月8日(土)は、次のお二人の講座がありました。
元昭和シェル石油常勤監査役の今井智之氏の「グローバルに通用する経営思考」
元通産省事務次官、元アラビヤ石油社長の小長啓一氏「中東産油国と日本」

今井智之氏の講義要旨:
今井氏は、グローバル化という視点で企業経営を捉えると、日本は欧米に比して劣勢である。それは英語力という問題よりは思考過程の相違にあると考えられる。
日本はEmotional, 欧米はLogicalという違いがある。グローバルというのは、Logical Thinkingができることであり、意思決定の基本である。これによりコミュニケーション力=説得力も高まってくるというものだ。
今井氏は、日本郵政をめぐる総務相と社長のやり取りと決着のつけ方、および新銀行東京をめぐる事例を取り上げられ、EmotionalとLogicalの考え方の違いを整理された。そのうえで、次の項目について具体的にわかりやすく説明された。
1.グローバル化とは
2.経営環境がいかに変化したか
3.日本企業の経営スタイルは変化したか
4.経営思考の改造を以下の切り口で見る
5.経営計画のあるべき姿
6.投資案件審査の留意点
7.業績改善への思考改造
8.効果的な組織運営
9.結び
DSC00199.JPG

小長啓一氏の講義要旨:
小長氏は、20年間にわたりアラブ諸国と付き合ってこられた経験から、アラブ諸国の人たちのメンタリティが日本人に似ていることから話を始められ、アラブ流の交渉の仕方にふれられた。
この点については、ご自身が1997年から2000年にかけてアラビア石油の採掘権の延長交渉を行われた苦労話を交えながら披露された。
メンタリティ:年功序列のたて社会、義理堅い、メンツを大切にする、家族を大切にする、
       コンセンサスを重んじる、など
そのうえで、アラブの人たちは、①日露戦争で日本が大国ロシアを破ったことを知っていて高く評価している(老人に多い)。②戦後、短期間に復興を遂げたことに尊敬の念をもっていて、日本から学びたいと思っている。
さらに、アラブ諸国もアメリカ発の金融危機に大きな影響を受けており、石油に頼ってきたモノ・カルチャーから脱却して産業育成を図っていく国づくりが必要との視点がでてきており、そこに日本がどれだけ協力できるか考えていく必要がある。
そして最後に、アラブ諸国の民主主義の問題、およびイラン、イラクの問題が今後どのように展開していくかについて示唆に富んだお話をされました。
DSC00201.JPG

21世紀を担うリーダー養成講座通信(11) [21世紀を担うリーダー養成講座]

8月22日(土)は、次のお二人の講義がありました。
山本良一氏(東大教授)の「地球環境問題」
石原信雄氏(財団法人地方自治研究機構会長)の「道州制で何が変わる」

山本良一氏の講義の要旨:
われわれは今、世界史の重要な転換点に立ち会っている。
気候変動問題は安全保障の問題であるという観点にたてば、このままいくとクライメットウォー(気候戦争)へ突入するだろう。
2016年には水争いからくる印パ戦争がおこる、飢え死にしそうな貧しい国から富める国への攻撃、2030年には中国内戦など世界は未曾有の混乱に巻き込まれるなどと予言する学者も多い。
すべては2度C以内の上昇(産業革命時から数えて)におさえられるかどうかにかかっている。すでに0.8度上昇しているし、今日すべてのCO2を世界中でストップしたとしても消えるのに1000年かかるという。残された時間はほとんどないのだ。
ポイントオブノーリターンはそこまで来ているのに、今の政府にはその危機感がまったくない。重厚長大産業のトップのいいなりだ。
政権が変われば少しはましかもしれない。
このまま化石燃料を使い続けるのか、大転換をしグリーン革命、低炭素革命を起こすのかということだ。
具体的には石炭、石油をすぐやめて(一時的に産業の発展が止まっても)原子力、太陽光他自然エネルギーに転換すべきなのだ。
DSC00223.JPG


石原信雄氏の講義の要旨:
政権交代の可能性が高いという状況を踏まえながら話を進められた。
交通通信の発達、経済活動の広域化、わけても行政改革の究極の形として、道州制の論議がすすめられている。
その前提として、市町村合併の歴史がある。
明治新政府が出来たとき、従来の村7万1000をすべて認めるという形でスタート、明治21年小学校を維持できる単位として、1万5000市町村が誕生、昭和28年の町村合併で3,300、平成の大合併で現在1800となっている。
国の出先機関、職員(国家公務員30万人のうち20万人)と都府県の機能、人材を一本化することによる行政のムダを大幅に削減、あわせて府県の機能を市町村に移譲することにより強い自治体をつくることが出来る。
そのためには国税、地方税の配分や、地方交付税、国庫補助負担金の見直しなど官僚が激しく抵抗するだろうし、知事の中にも橋下氏や松沢、麻生氏など州都になりそうな地域の知事と、そこに集約されそうな地区の知事では相当の温度差がある。
民主党のなかでも一枚岩ではなく、小沢さんがいっている「屋上屋を重ねる道州制よりも、300の強い基礎自治体をつくるのが先だ」という意見もあり、平成2年に国会決議された首都機能移転問題とともに、実現のためには強い政治の力が必要だろう。
DSC00226.JPG

21世紀を担うリーダー養成講座通信(12) [21世紀を担うリーダー養成講座]

9月6日(土)は、次のお二人の講義がありました。
山口 俊宗(CRT日本委員会ディレクター):「企業の社会的責任(CSR)」
尾崎 護(元、大蔵省事務次官、矢崎総業顧問):「中国経済の現況」

山口 俊宗氏の講義要旨:
CSRについて色々な定義があるなかで、CRTは「企業の成長と社会の発展のベクトルを合わせる経営」とし、具体的には「企業を取り巻くステークホルダーや社会の期待・要請に耳を傾け、長期的な企業価値の向上に繋げていこうとするマネジメント」としている。
この考え方は、今回のアメリカ発の金融危機の背後にあるミルトン・フリードマンの自由主義経済に対して,Moral Capitalismを提唱するものである。
企業に求められる姿勢としては、次の3つの原則がある。・・・経団連が準拠。
原則1.企業の責任(使命)
本業により富と雇用を創造し、全てのステークホルダーに価値を提供する。
原則2.企業の経済的・社会的影響
事業活動を通じて地域社会の経済的発展、社会的発展に貢献する。
原則3.企業の行動(信頼)
社会に開かれた誠実な行動により、全てのステークホルダーとの信頼関係を築く。
なお、この運動を社内展開するために、CRTは自社の視点と社会の視点を取り入れた「マテリアリティ(重要性)アプローチ」をもっており、今回講義の中でその一部を体験することができた。
DSC00227.JPG

尾崎護氏の講義要旨:
昨年の金融危機発生後に、中国がどのようにそれを切り抜けて(まだ途上だが)きたか、日本やアメリカと比較しながら具体的に説明された。ポイントは次の通りである。
・上半期の実質成長率:1~3月 6.1%、4~6月 7.9%(1~6月 7.1%)
今年は政府見通し通り8%程度になりそう。
その内訳をみると、外需がマイナスになっているが、内需(投資と個人消費)主導で景気回復が図られてきた。
・これまでは、中国政府がとってきた①[積極的な財政政策]、と一方で②インフレを意識した[適度に穏やかな金融政策]が功を奏した形になっている。
・しかし、中国には国内問題として次のような問題を抱えており、政府は、対策を迫られている。
①地域格差の問題。
②業種によっては生産過剰の問題がある。
③環境問題。
・その他のテーマとしては、次のようなことが語られた。
①中国が米国債の保有を減らしてきている(6月末7764億ドル。5月末8015億ドルに比べ251億ドルの減少)。これは人民元の貿易決済業務の外資系への拡充の動きがあることと合わせて注目していく必要がある。
②中国の税金の中心は増値税(付加価値税)で、17%
・講義のあとで、同席された中央財経大学財政学院・副教授の楊華さんも参加されて活発な質疑応答がありました。
DSC00236.JPG
 

21世紀を担うリーダー養成講座通信(最終) [21世紀を担うリーダー養成講座]

9月26日(土)は、第四期生の研究発表と修了式が行われました。
研究発表は、この6ヶ月間(4月11日~9月26日)の研修期間中にそれぞれ自分のテーマをもって受講し、その研究結果をまとめて発表するものです(一人病気により欠席)。
多くの人は、SWOT分析を効果的に取り入れており、それぞれの業務のポイントを上手く表現していました。
会場には、会社の上司やOBの人たちも駆けつけられ、緊張感のあるなかで賑やかな発表になりました。
1.大橋 弘 「コミュニケーション・スタイル改革~保険コンサルティング・アプローチの導入」
2.張 淑雲 「日本における日本語学校の経営・環境づくりに関する一研究」
3.廣田朋紀、齋藤大地「矢崎グループの企業コミュニケーション戦略」
4.藤堂 剛 「ライフプランナーバリュー」
5.浦井正浩「産経新聞に明日はあるか?」
6.黒羽美登里、山本英俊「第三分野からの保障提案」
7.川上 潤「原電事業の環境活動~今後に向けて~」    

発表の後、大竹美喜氏(代表発起人)から祝辞があり、「これからのリーダーには3Cが求められる」として、Credibility(信頼)、Creativity(創造性)、Communication(発信力)をあげられました。
その後で、田中秀親氏(淑徳大学学長特別補佐)から労いの言葉が贈られ、受講生一人一人に「修了証書の授与」が行われました。
引き続き懇親に移り、受講生たちは6ヶ月間の労と今後の活躍を誓い合いました。
なお、第5期は2010年4月10日~9月25日に開催すると、事務局から発表がありました。

DSC00268.JPG

- | 次の7件 21世紀を担うリーダー養成講座 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。