囚人のジレンマ(5) [ゲームの理論]

もう一つの「他人に迷惑をかけない」生き方について考えてみましょう。
意識的に他人に迷惑をかけるのは論外として、私たちはできるだけ他人に迷惑をかけないように努力することはできます。そのような生き方は、道徳的には当を得ています。しかし、意識的にそのような生き方をしても、私たちは、他人に迷惑をかける存在であることに変わりありません。
たとえば、電車に乗るためにきちんと並んで待つことは、他人に迷惑をかけることはありませんし、道徳的に見れば良い行為です。しかし、自分が座席に座った結果、一人立つ人がでることになれば、その人にとっては迷惑になります。もし、自分がそこにいなければ一人座れたという意味では迷惑な話です。このように、本質的に「人は、生きていることそれ自体が、他人に迷惑をかける存在である」のです。ゼロサム・ルールの話はすでにしました。私たちが生きていると、資源が有限な限り、必ず自分が手に入れただけのものを、手に入れられない人がいるということ、それがゼロサムルールのはずです。


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