囚人のジレンマ(4) [ゲームの理論]

「人に負けない」とは、その裏に「相手の出方を見て自分の行動を選択する」という意味が込められています。相手の出方が解らないかぎり行動に移らないのです。そして相手に合わせてしまうのです。そうすれば、勝たなくても負けることはありません。 しかし、人には相手の行動を見なくても、「自分はこうしたい」という思いがあるはずです。それを抑えて皆が「負けなければよい」という生き方をしたら、誰も自分から進んで積極的な行動をとる人はいなくなります。これでは、皆で負け戦をしているようなものです。
一方が勝てば他方が負ける、というのがゼロサムゲ-ムの生き方であるとしたら、両方とも勝つという非ゼロサムゲ-ムだってあるはずです。
「囚人のジレンマ」の例では、もう一つの選択肢がありました。黙秘することです。相棒を信じて黙秘すること、万一相棒が裏切って自白してもかまわない、自分の信念を貫こう--こういう生き方がありました。
「マイナスにさえならなければ」という生き方は、決して「プラスにはならない」ということを肝に銘ずる必要があります。